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コラム

判決はゴールではない。再起を支えるために

弁護士の常冨 智紀です。

先日、私が国選弁護人で担当していた窃盗事件の判決がありました。
依頼者はホームレス生活をしていた方で、空腹によりとあるスーパーで食料品を盗ってしまったという事案でした。
判決は「執行猶予」。
実刑を免れ、その場で身体拘束を解かれることになりました。本来であれば喜ばしい結果です。

しかし、この事案において「釈放」は、手放しで喜べる結末ではありませんでした。
依頼者には戻る家もなければ、当面の所持金もありません。
そのまま社会に戻されれば、その日の食事にも困り、再び生きるために罪を犯さざるを得ない状況(再犯)に陥る危険性が極めて高い状態にありました。

そこで私は、判決が出る前からあらかじめ区役所の生活保護課に連絡を入れ、事情を説明していました。
そして判決により釈放となったその足で、そのまま依頼者の方と一緒に生活保護課へ向かい、スムーズに当面の住まいや食事の支援を受けられるよう、環境調整を行いました。

刑事弁護というと、裁判で有利な判決を得ることがゴールだと思われがちです。
しかし、生活基盤が整っていなければ、真の意味での「更生」や「社会復帰」は困難です。

法的な弁護活動だけでなく、依頼者が社会の中で孤立せず、生活を立て直すための道筋をつけること。
それもまた、再犯を防ぎ社会を守るための、弁護士の重要な役割であると私は考えています。

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